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高齢者うつに対処するメンタルケアの必要性

高齢者が陥りやすいメンタル疾患としては、認知症が知られていますが、これに似たものとして老人性うつがあります。老人性うつも、うつ病の1種であり、長期にわたり無気力、無関心や判断力の低下といった症状を伴います。生きている意味を見出せず、何となく不安な状態が続くことも多く、病気であるという意識を持たずに単なる老化現象だと考える高齢者も少なくありません。また、疲れやすく眠りが浅くなったり、肩凝りや頭痛など身体的苦痛を生じたりすることも多く、介護職員には老人性うつの判断が難しいと言えるでしょう。

うつ病は若い年齢層も罹患する疾病ですが、高齢者は特に退職後の生き甲斐を見つけられなかったり、親しい者と死別したりすることが多く、老人性うつにかかりやすいと言えます。記憶力や運動能力の著しい低下を感じ、若い頃とのギャップに愕然とすることも、老人性うつの原因になるでしょう。認知症との大きな違いは、記憶障害や判断力の衰えについて自覚症状があることです。高齢者本人が症状を意識すると、恥ずかしいという気持ちが生まれ、家族や介護職員など周囲の人たちに話そうとしない傾向があり、なかなか気付かれないという特徴もあります。

こうした老人性うつに対処するため、介護職員は高齢者のメンタルケアに関しても十分注意を払わなければなりません。介護現場には医師や看護師といった医療従事者もいますが、高齢者と接する時間が一番長いのは介護職員ですから、日頃から高齢者の様子をよく観察して、高齢者うつが疑われる症状をできるだけ早く気付けるよう尽力する義務を負います。